軍用地売買 将来に禍根残さぬ対応を
在沖米軍用地が「安定した金融商品」や「基地が生んだ優良物件」として投資の対象となっている。
2007年度、08年度の2年間では、軍用地約3・4ヘクタールが県外在住者65人に購入されていた。
自由経済市場の中での土地取引であり、本来なら文句を言う筋合いではないだろう。
だが、戦後、米軍の銃剣とブルドーザーによる強制的な土地接収によって、沖縄の米軍基地が形成された。多くの人が無理やり先祖代々からの土地を奪われ、古里を離れた生活を余儀なくされてきた。
その歴史的経緯を考えると、米軍用地を「金融商品」「優良物件」として投資目的で扱われること自体、多くの県民は心情的に納得しがたいのではないか。
米軍用地料は、全国的な地価下落の傾向が続く中でも、毎年のように上昇してきた。
背景には土地強制収用の歴史への償い、基地から派生する軍用機の爆音禍など過重な基地負担への被害補償という意味合いもある。
投資目的で軍用地を手に入れた県外の地主には「基地被害が及ばない場所に住み、利益だけは享受する」という「被害と受益の分離矛盾」への不満も募ろう。
また、軍用地売買がさらに活発化して県外地主が大幅に増加すれば、米軍用地返還後の跡地利用に大きな支障が出るとの指摘もある。
跡地利用には地主の合意形成が何よりも重要だが、合意に向けた作業が県外まで広がると事務手続きなどが煩雑化し、時間がかかることが予想される。
地主の合意形成が遅れれば遅れるほど、跡利用計画は遅滞し、その付けは結局、地主だけではなく、関係する自治体、県民に回ってくる。
基地跡地の利用は地主たちだけの問題ではない。基地の存続よりも返還跡利用をしっかり進めれば、経済効果が大きいことは過去の事例で証明されている。
基地跡地の利用は、将来の沖縄の県土づくりの重要な鍵だ。
宜野湾市は普天間飛行場返還跡地での公共用地の確保を目的に、既に軍用地の先行取得を実施している。
跡利用を阻む可能性のある軍用地の乱売には歯止めをかけ、将来に禍根を残さぬよう、県民が納得できる仕組みづくりを急ぐ必要がある。
琉球新報
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