
2011年07月26日
移設と引き換え
ひずみの構造
基地と沖縄経済
広大な米軍基地跡地の開発は沖縄経済発展の鍵となるが、これまで返還された跡地は土壌汚染や不発弾、地権者の合意形成の遅れなどで、地主の不利益だけではなく地域全体の発展を阻害する‘ひずみ,を生んできた。2011年度末で期限切れとなる沖縄県駐留軍用地返還特別措置法(運転特措置法)、沖縄振興特別措置法(沖振法)に変わり、県は新たな跡地利用推進法(仮称)の制定を政府に求め、課題解決に乗り出す。第3部は県内の基地跡地を歩き、現行制度の欠陥や跡地開発の課題を浮き彫りにする。
最後の島田懇事業に
60㌶の森の中に古びた消化訓練施設がたたずみ、海岸の岩場に波が打ち寄せる。31日に変換される金武町金武の米軍ギンバル訓練場は人けもなく静まりかえっている。
町は、この訓練場跡地で医療施設や人工ビーチの整備、ホテル誘致などを計画している。総事業費は150億円。「地域医療施設」とリハビリ関係3施設の整備費75億円は、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業(島田懇談会事業)を活用する。1997年度に始まった島田懇事業の最後の事業となる。
同訓練場は57年から米海兵隊がヘリコプターの離着陸や空砲による野戦演習をする訓練場として使われていた。日米両政府は96年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告で、97年度末までをめどとした返還に合意。だが、条件の一つである米軍ブルービーチ訓練場へのヘリパット移設に地元並里区が強く反発し、返還は進まなかった。
島田懇事業の期限とされていた2007年度、町は各区で跡地利用とヘリパッド移設に関する説明会を開くと同時に、政府に対する島田懇事業継続の要請を進めた。跡地利用の事業費150億円は、年間70~100億円程度の街の歳入を大きく上回る。島田懇事業は国の補助率が9~10割と高く、市町村負担も地方交付税で措置されることになっている。自事態にとっては自らの負担を低く抑えつつ、自由度の高い事業ができる。
政府は07年6月8日月の文章で「返還のめどが立ち、具体的な事業計画が策定されることに前提に」島田懇事業の継続を約束。義武剛町長は同月12日に開かれた町会議で移設受け入れを正式に表明した。島田懇事業を活用し跡地利用を進めるため、基地負担を受け入れた格好だ。
日米両政府は08年1月、日米合同委員会で同訓練所の返還に合意。並里区議会も同年6月、訓練場内の区誘致を町に売却することを決め、移設を事実上容認した。SACO合意から既に10年以上経過していた。
同訓練所では島田懇事業を活用できたが、伊芸達博副町長は、将来ほかの基地が返還される可能性を見据え「現行の沖振法、運転徳措法に代わる新たな法理では、国が責任を持って跡地の開発・整備をおするべきだ」と訴える。
国は運転徳措法に基づき、返還に伴い軍用地料がなくなる地主に、最長3年間の返還給付金を支給する。町など同訓練所の地主も返還給付金を受けられるが、沖振法に基づき300㌶以上の跡地を対象にした「大規模跡地給付金」は支給されない。同給付金の要件を満たすのは普天間飛行場だけだ。
伊芸副町長は「返還とどうじに開発に入るギンバル訓練場の場合、特に問題はない」とした上で「新制度では面積要件を撤廃してほしい」と求めた。
※7月26日火曜日琉球新報の記事掲載
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Posted by うるま不動産スタッフ at 18:31│Comments(0)