
2011年08月23日
汚染、合意形成で難航 恩納通信所
ひずみの構造
基地と沖縄経済
「調印にこぎ着け、ほっとしている」。2009年3月31日、恩納通信所返還跡地利用地主会の島袋啓会長は、ベルジャ・ランド社(のジョセフ・ウオンCEOと固い握手を交わした。両者はこの日、米軍恩納通信所跡地でリゾート開発を進める合意書に調印。1995年の返還以降、紆余曲折をたどった跡地利用計画が再び動きだした瞬間だった。
リゾートホテルが林立する恩納村の中でもエメラルドグリーンの海に面した同通信所跡地。リゾート開発にうってつけの場所だが、返還から16年を経た現在も荒地のままだ。返還後、跡地でPCBや水銀などの有害物質が発見され、現状回復に長期間かかったのに加え、地主の合意形成や企業誘致に時間を要し、地主は土地収入がない状態が長年続いた。
ベルジャヤ社は、最高級ホテル「フォーシーズンズホテル」の誘致を目玉に、分譲住宅や商業施設、ホテル従業員の育成施設などを計画している。現在は環境影響評価の方法書を作成している段階で、2~3年内の着工を目指す。段階的に整備し、ホテル開業は開発許可申請から5年後、全体の開発完了は10年後を予定している。
48.9㌶の用地は地主約400人から賃貸する。100年という長期の賃貸契約だが、9割超は合意を得られる見込みという。区有地賃貸を決めた恩納区の瀬良垣健区長は「(開発で)『生活環境が変わる』という不安はある」としながらも「地主は長年ほったらかされてきた。実現すれば地元の物品調達や雇用も生まれる」と期待する。
同通信所では返還当時、地主や村などが「跡地用計画検討委員会」を設置。ゴルフ場建設を中心とした計画をまとめたが、地主数人の合意が得られず99年に断念した。その後、独立行政法人通信総合研究所の「沖縄亜熱帯計測技術センター」や村の「ふれあい体験学習センター」が立地したが、開発可能な56.2㌶のうち、52.1㌶は未整備のままだ。
跡地利用の遅れを招いた要因の一つは返還後の96年3月に発見されたPCBなどの有害物質だ。汚水処理槽内の汚泥に含まれていた。当時、10社ほどが跡利用計画検討委に開発を提案していたが、景気の悪化に伴い次々と手を引いた。同委員会の当山忠茂元会長は「汚染が撤退の直接的な原因ではないが、引き渡しが遅れるうちに景気が悪化し、企業が投資に消極的になっていた」と間接的な影響を指摘。苦い教訓を基に「基地跡地は何が出てくるか分からない。返還前の調査が必要だ」と訴えている。
※8月23日(火)琉球新報の記事を抜粋しています。
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Posted by うるま不動産スタッフ at 17:18│Comments(0)